iriが好き
spotifyが、2020年に私が一番多く聴いた曲はiriの「Sparkle」だって教えてくれた。
アルバム「Sparkle」が2020年3月25日にリリースされてから今日まで、本当に何度も聴いて励まされた。この時期はちょうど引っ越したり社会人生活がスタートする準備やら何やらで生活の変化に心が追いつかなかったり、それまで頻繁に顔を合わせていた大好きな人とコロナの影響もあったりなかったりで突然会えなくなったり、正直ちょっときついなと思うことがたくさん。多分iriがアルバム出してくれなかったらリアルにもっと落ち込んでたから、心から感謝している。本当にありがとうございますと切実に伝えたい。
去年の3月はLapsleyの「Through Water」もリリースされた。それも本当に素晴らしいアルバムだった。今考えると、2020年に私が出会えてよかったと思う新しいアルバムは3月の時点でほぼ出揃っていたことになるな(笑)。Lapsleyもiriも、声の低さや醸し出す深みが似ていて、我ながら好きな歌声のタイプがはっきりしているなと思う。同じようなタイプの声だとAmber Markも好きだな。自分の声がキンキン高いので、彼女たちのような低くてしっとりしてる歌声の持ち主についつい嫉妬してしまう。”声のタイプ”に分類せずとも最近私が特に好きで聴いているアーティストはこの3人だ。それぞれ歌声だけが好きなわけではなく、曲そのものから感じる”涼しい顔して訴える絶望”みたいな共通の切り口も好きだ。というかその視点があるからこそ、聴いていてこんなにも心動かされるのだと感じる。音楽を通して”涼しい顔して訴える”ができている女性に幼いころからずっと憧れていた。そういう音楽に私はずっと助けられてきた。
さてさてiriの今回のアルバムのタイトルチューンである「Sparkle」は作曲にKan Sanoが参加してる。ちゃんと調べてみたら彼の参加曲は他に「Only One」「Shade」があるんだけど、オイかっこいいやつめっちゃKan Sanoやんけ〜!ってなってる。Kan Sano個人のやつだとアルバム「Ghost Notes」に入ってる「Nightfly」が一番好き。
今ってそれっぽいサウンドプロダクションにそれっぽいメロディが乗せられた和製R&B(”それっぽい”としか言えなくて自分が情けない)が溢れてて真新しさが無いからすぐ聴き飽きちゃうんだけれど、iri(特に×Kan Sano)はそういう既視感を受け取らせない確かなクオリティがあるのがまじですごい。何回聴いても新しくてその度に感動する。なぜこんなにも私を魅了して離してくれないのかを聴きながら考えるんだけど、単純に音作りのクオリティが高いからだということに気付く。iriがメインで書いた曲も、作曲で他の人との共作も音が最高にかっこいい!普段同世代で活躍してるアーティストの曲を素直にすごい!!と言えないキモイ私だが、iriはもう悔しいとかそういう気持ちが起きない。凄すぎるから。今回の「Sparkle」のアルバムはYaffle、Kan Sano、ケンモチヒデフミが参加してるらしいけど、控えめに言って超豪華や。ケンモチと言えばiriの「Watashi」も作ってたね。懐かしい。大学生時代は展開部分の超かっこいい「ジャンジャンジャンッ」ってシンセを死ぬほど聴いてたなあ…(伝われ)。彼女の曲に一貫してる「涼しい顔」の部分はこの”音のクオリティの高さ”に寄るものが大きいと個人的に思ってる。
私が病的にiriを聴いてしまうもう一つの要素はやっぱり歌詞が好きなところだと思う。ストイックすぎる彼女の歌詞を自分の中に投入すれば怠け者の今の私じゃなくてかっこいい理想の自分になれる気がしていわば”矯正”くらいの気持ちで聴いてる。彼女の歌詞は結構自分に厳しいのだ。「Sparkle」はサビ直前に”眠ってしまえば 新しい世界が忘れさせていくいいことさえ 歪んだ期待や甘すぎる願いが僕をまた情けなく泳がせてゆく”っていう歌詞が出てくる。この「僕」はいつも自分を何とかしなくちゃと思っていて、自分が過去にしてきたことも今もがいてることもそんなに誇らしく思ってない。でも色んな大人から自分のためになるかならないかよくわからない「期待」に応えようと思うし、もしかしたら何かすごいことができるんじゃないかっていう甘い「願い」を常に持っていることも自分でわかってる。私はこう言う風に解釈して、共感してるんだけどみんなはどうなんだろう。でもこんな謙虚な気持ち(?)諦観(?)って多分誰もが思ってることなんだけど同世代の女の子が歌っていることがあんまりないから聴く度に目が覚める感覚がする。誰でもない自分を叶えていこう!っていう切り口の歌がiriにはない。1つの曲の中の1つのフレーズだけでこんなにも埋め込まれてる「涼しい顔した暗さ」がたまらなく好き。
あとこのアルバムの中で特にすごい歌詞だなあと思ったのは「24-25」だな。私があと一ヶ月で24歳になるから余計に沁みるのかもしれない(誕生日アピールではないです)。
・ずっとずれてきた24-25years ・優しさの意味さえ忘れても君だけは外せない魔法
このサビの歌詞がマジで好きすぎる。マジで天才だと思う。何度も頭を縦に振って共感している。どうやって生きてたらこんな歌詞を生み出せるの???
もうこれから生きてく上で「この人のライブ行っておけば良かった」って後悔はしないと決めているので、諸々世の中が落ち着いて生でライブ行けるようになったらiriはマストで行きたい。
